日本人と糖尿病
糖尿病のなりやすさは,遺伝・体質 と 環境・生活習慣 の両方が関係します.
今回は,日本人の糖尿病の特徴をテーマにします.
インスリンというホルモンには,血糖値を下げる働きがあります.
膵臓という場所で,インスリンは作られますが,
インスリンの働きが悪くなったり,十分に作れなくなると,
血糖値が上がっていき,糖尿病になってしまいます.
日本人は欧米人に比べて,インスリンを作る力の弱いことがわかっています.
欧米人では,糖尿病は,基本的に肥満の人がなる病気ですが,
日本人では,もともと,インスリンを作る力が弱いため,食生活の乱れや肥満がなくても,
糖尿病になってしまうことがあります.
遺伝的に差が無いと考えられるアメリカ在住日系人と日本人を比較して
糖尿病のなりやすさを調査した研究があります.
アメリカ在住日系人の方が,日本人よりも糖尿病の患者さんの割合が
2~3倍高いと報告しています.
食習慣の内容の違いでは,アメリカ在住の日系人の方が,
数~10%程カロリーを多く摂取していました.
また,食べ物の内容では,動物性のたんぱく質・脂肪や,
砂糖,果物,お菓子などに含まれる単純糖質を多く摂っていました.
この50年間で日本での糖尿病患者さんは約30倍に増えたと言われています.
糖尿病が増えてしまった背景として,日本人は欧米人に比べて
インスリンを作る力が弱いという遺伝・体質的な要因と,
食習慣の欧米化という環境・食習慣の変化が重なって起きていると考えられています.
年齢が進むとともに,インスリンを作る力は弱まっていき,
糖尿病になる危険性は高くなってしまいます.
健康診断などで定期的にご自分の身体の状況を確認することは大切です.
また,糖尿病のなりやすさは,食習慣の影響を大きく受けます.
そもそも食べ過ぎないようにすることは基本ですが,
欧米化した食生活によるお肉の摂り過ぎを避け,ジュースやお菓子などを控えることが,
糖尿病予防に重要です.
※糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に分けられ,糖尿病になる原因や病気の状態に
違いがあります.
今回とりあげた内容は,糖尿病のうちの90%以上を占める2型糖尿病についてです.