太るといろいろ困ったことが起こります(メタボリックシンドロームの話)
近年,メタボリックシンドロームという言葉は,一般的に使われるようになりました.
しかし,特定健診(いわゆるメタボ健診)を毎年受けているけれど,
メタボリックシンドロームって何だかよく知らないという人は多いのではないでしょうか.
メタボ=太っていること という風に言葉を使っている人もいます.
完全に間違いではないですが,あっているとは言えません.
実際,メタボリックシンドロームって,ちゃんと知ろうとすると,結構ややこしいのです.
何回かに分けて説明していきたいと思います.
心筋梗塞や脳卒中などの血管の病気が起きやすくなる原因のひとつに
メタボリックシンドロームがあります.
心筋梗塞や脳卒中という病気は,先進国における死亡原因の大きな割合を占めています.
また,働き盛りの年齢で,突然かかってしまうことも多く,予防することはとても重要です.
心筋梗塞や脳卒中は,心臓や脳に栄養を送る動脈が詰まったり切れたりしてしまう病気です.
これまで,このような動脈の異常(動脈硬化)が起きる原因について研究が進められ,
その中でも特に悪玉コレステロールが果たす役割が大きいことが分かり,
悪玉コレステロールを下げる薬で,心筋梗塞を予防する一定の効果が
示されてきました.
しかし,その後,悪玉コレステロールを下げても完全には,動脈硬化を防ぐことができず,
悪玉コレステロールだけでは,動脈硬化の原因の全てを説明できないことが
分かってきました.
そこで,注目されるようになっていったのがメタボリックシンドロームです.